「ニューカマーズ・ヴュー2013」イミグレーション・ミュージアム・東京にむけて

第3回目の2013年は、新たに2つの視点から展示を構成しています。第1に、地域に居住する外国人の生活に内在する文化的
背景を一般市民が取材し、アートの手法を用いて作品を制作する「市民によるコミュニケーション・プロジェクト」。第2に、
現在東京近郊に在留する外国籍アーティスト達の思考に、日々の生活がどのように作用しているのかを問いかけた作品です。

これまでも異文化に対して既成概念や偏見に収まらない自らの視座を獲得するために、「新しい隣人たち」の生活をできるだけ
多様なまなざしで見つめ、感じようと努めてきました。その中で本展示の柱となる二つの視点は、これまで以上に広い視野と
角度を私達に与えてくれるはずです。勿論、それぞれの表現の中にはさらに多くの視点が含まれており、受け手の見方がそこに
加わることを待っています。本展から少しでも多くの対話が生まれることを望んでいます。

期間:2013年3月3日(日)〜3月23日(土)
時間:14:00〜19:00(イベント開催日は別時間)
場所:小金井アートスポットシャトー2F(小金井本町6-5-3)
入場料:無料(※有料イベントあり)

市民によるコミュニケーション・プロジェクト

北川 麻衣子 「Mind the Sound Gap」

知らない土地を初めて訪れたとき、視覚情報だけでは気がつかなかった音の世界に驚いたことはありませんか?
このプロジェクトでは、東京に住む外国出身の人たちが、日本に来る前に思い描いていた視覚的なイメージと、生活をする
中で遭遇した、様々な音とのギャップを取材し、提示します。私たちが日常気に留めない音の世界と、 実際に彼らの
描いていた日本のイメージとのギャップを意識することで、自分たちが今まで考えていた、あたりまえの世界とは違う何かに
気づくかもしれません。

古田 裕美 「「笑い」を考える」

私は笑える動物に生まれてきたことに心から感謝しています。「笑う」という素晴らしい能力を、人は普段どれだけ意識
しているでしょう。とても興味があります。自分の生まれ育った文化の違いの中での笑いは、世界に通じるものなのか、
笑いのツボには何が入っているのか・・・。
世界中の人たちの笑いと価値観、違いや共通点を探ります。

富田 陽香 「各国・各家・各自の「お手洗い」事情」

生きる上で必要不可欠な好意がいくつかあります。例えば食べる。そして出す。大事な好意をするために大切な空間「トイレ」。
このプロジェクトでは、生活している誰もが必ず利用する「トイレ」をテーマに、各国の文化の相違点をひも解きます。
母国と日本のトイレの違いは?トイレにまつわる逸話はありますか?あなたにとってトイレとは?日常的に使う空間だからこそ、
土地や宗教、個人ならではの文化的な要素が見えてくるかもしれません。ちょっと公では話しにくいテーマだからこそ、
ちらっと除く感覚で、注目してみてください。

ゲストアーティストによる展示

本年三回目を迎える「ニューカマーズ・ヴュー2013」展では、市民による外国籍の方々とのコミュニケーションを作品化する
恒例のプログラムに加えて、中国、英国、イラン国籍で首都圏に在住する三人のゲスト・アーティストを招聘しました。
それぞれが日本で生活する中で、いかにしてこの社会に向き合うか?という根本的な問いを前提に、さまざまな視点から
作品で回答いただきました。
ほとんどの作品が本展のために制作された新作であることも強調すべき点です。

ジェイミ・ハンフリーズ Jaime Humphreys

左:「Drawing with a video camera」(ビデオ、2013年)
右:「The World of Kurokawa」(写真上ドローイング、2013年)

会場となった「シャトー小金井」をモチーフに、ビデオカメラのレンズを鉛筆としてみたて、環境をキャンバスとして、
線的な要素をなぞるドローイングを作ろうとした。空間との対話のドキュメントとしてありながら、独特な空間の中の
探索へインスパイアさせられる作品。

【アーティスト・プロフィール】
1979年シュルーズベリ(英国)生まれ。J・ハンフリーズの関心はインスタレーション、ビデオ、紙素材等を通したドローイングという媒体の探求にある。ドローイングをツールとして空間を再現することで、空間に潜在する特色や関係要素(私的と公的、内面と外面等)に注目させている。最近では、他のアーティストとの共同制作として、単純なガイドラインを参加者に与え、参加者が描いていく過程と、その大規模なドローイング・ビデオとして作品化している。東京に拠点をおいて6年以上になり、遊工房アートスペース(杉並区)にて子供向けアートワークショップを担当する等、様々な創作活動に携わっている。

リュウ・ルーシャン Liu Lushan

左:オープニングのパフォーマンス『私と佐川義臣先生』(2013) 右:『ボーダーランド・バースデー』(2007)

母国での記憶とノスタルジー(望郷)をテーマにしたパフォーマンス作品「ボーダーランド・バースデー」(2007)。
1989年の夏、たったひとりの外国人として日本の公立小学校に通いはじめた私と、言葉の通じない学生を教えることとなった
日本人教師との対話をめぐるライブパフォーマンス「私と佐川義臣先生」(2013)。
この新旧二つのパフォーマンスから、私の移住者としての体験と思いを来場者の皆様と共有したい。(キャプションより)

【アーティスト・プロフィール】
1979年北京(中国)生まれ。1989年の夏、母国を離れ、両親とともに来日。2003年より「移住をテーマに作品をつくり続けている。創作活動を通じて、彼女は異なる国家や文化の狭間に生きる自分のアイデンティティを再発見することになった。「ひとりの移住者になるとはいったいどういうことなのか」「目に見えない精神的な国境をどのように描くことができるのか」。彼女は、国家と文化の境界線を綱渡りしながらゆっくりと探求していく。

ゴルマリヤム・ マスウード・アンサリ Golmaryam Masood Ansari

左:Our time, time of contradiction, time of amazement 私達の時代、矛盾の時代、驚きの時代 1〜4」(ミクストメディア、2008)
右:「Another Chance」(コンピューター・プリント、板、2013)

【アーティスト・プロフィール】
1981年テヘラン(イラン)生まれ。2009年より神奈川県在住。「アートとは、人生のひとつひとつの瞬間に起きた結果の残滓だ―寂しさや、一体感や、哀しみ、しあわせ、存在、非・存在、そして何よりも、別離、からもたらされる感情たちの」。このように語る彼女は、来日前の母国において近隣の社会が抱える日々の問題、テクノロジーにまつわる問題、宗教の名のもとで様々なことが隠される社会との葛藤をテーマに作品を制作してきた。2011年の東日本大震災の被災地を訪れたことを機に新たな制作を開始した彼女は、自身と日本社会との間に横たわる距離に改めて気付く。

●会期中イベント

ライブ・パフォーマンス『私と佐川義臣先生』

日時:3/3(日)18:00~19:00
出演:リュウ・ルーシャン

アイデンティティの揺れやぶれ、または様々な境界線の狭間を、作品制作を通して探求しているリュウ・ルーシャンが、
移住について思うことを、彼女自身の体験談とエッセイの朗読を交えながら語ります。

オープニング・レセプション

日時:3/3(日)19:00~21:00
「市民によるコミュニケーション・プロジェクト」担当者による作品紹介

ペゴパヨパーティースペシャル ver.1

3/16(土)17:00~
ゲスト料理人:ゴルマリヤム・マスウード・アンサリ
参加費:300円

本展出品作家ゴルマリヤム・マスウード・アンサリさんを料理人に迎えます。料理をつくっていただきながら、
それぞれの作品についてのアーティストトークも行います。

ペゴパヨパーティースペシャル ver.2

3/20(水・祝)16:00~
ゲスト料理人:ジェイミ・ハンフリーズ
参加費:300円

本展出品作家ジェイミ・ハンフリーズさんを料理人に迎えます。料理をつくっていただきながら、
それぞれの作品についてのアーティストトークも行います。

企画/監修 岩井成昭
運営・制作 IMM事務局スタッフ

小金井アートフル・アクション!×東京アートポイント計画

主催:東京都、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)、小金井アートフル・アクション ! 実行委員会
助成:財団法人 アサヒビール芸術文化財団

●東京アートポイント計画とは」

「東京アートポイント計画」は、東京の様々な人・まち・活動をアートで結ぶことで、東京の多様な魅力を
地域・市民の参画により創造・発信することを目指し、「東京文化発信プロジェクト」の一環として東京都と
公益財団法人東京都歴史文化財団が展開している事業です。